留意点

1.運転資金

医療法人設立時には、2ヶ月以上の運転資金が必要とされます。
保険医療機関である診療所等では、保険診療収入は窓口収入を除けば、およそ2ヶ月後にならないと入金がありません。そのため、医療法人の収入は、窓口収入以外、2ヶ月後にならないと入金されないことになり、給与や賃料などの必要経費を支払いながら医療法人を経営していかなければならないため、2ヶ月以上の運転資金が必要となるのです。

2.借入金

個人事業の際の借入金についてですが、医療法人にすべてを無条件で引き継ぐことはできません。
引き継ぐことが可能なのは、個人事業の際に設備投資のために借入れたお金であり、その借入れたお金で取得した医療機器等の設備を医療法人に拠出した場合とされています。
この場合、負債残高証明及び債務引継承認願を作成し、借入先に押印してもらう必要があります。また、負債残高証明及び債務引継承認願の添付書類として、金銭消費貸借契約書と返済計画表、借入残高の明細書なども必要になります。
その他の買掛金や、経費の支払いを目的として借入れたお金は引き継ぐことができません。

3.リース

個人診療所の医療機器がリースの場合、その医療機器を出資することはできません。
しかし、その場合でもリースを引き継ぐことならできます。この場合、リース引継承認書を作成し、リース会社に押印してもらうことが必要です。

注意点

1.小規模企業共済

医療法人化は退職事由に該当し、小規模企業共済の加入資格を満たさなくなるので、脱退しなければなりません。
そのため、以後の確定申告では、小規模企業共済等掛金控除の適用はなくなります。また、個人事業主としての退職となり、退職金の受取りがあります。
医療法人化の際には、中小企業基盤整備機構に申請し、退職の手続きを行ってください。

2.中小企業退職金共済

従業員の退職金に備えるために、個人事業のときに加入していた中小企業退職金共済制度については、医療法人を設立した後も引き続いて利用することが可能です。
必要な手続きについてですが、医療法人化した際に、契約者本人が事業団に名称変更届をご提出ください。

3.社会保険

医療法人を設立すると社会保険(健康保険・厚生年金)に加入する必要があります。もちろん、院長自身も加入しなければなりません。
これらのうち、個人診療所のときに健康保険(医師国保・歯科医師国保)に加入していた場合には、その健康保険(医師国保・歯科医師国保)については医療法人化後に引き継ぎができます(この場合、厚生年金のみ加入が必要です)。

また、医師国保・歯科医師国保の場合、院長と従業員で負担額が異なりますが、法人になると院長でなくても役員であれば、他の従業員と負担額が変わる場合もありますので、各医師国保組合・歯科医師国保組合に確認する必要があります。